再来週バンコクで開催される国際学会「Society of Interdisciplinary Business and Economics Research」のカンファレンスに提出した論文「A Proposal of Self-organizing Management Utilizing Multi-layer Customer Value Chain Analysis」(白坂 成功先生、小林 延至さんとの共著)が、なんと最優秀論文賞(Best Paper Award)になったとの連絡をいただきました。

慶應SDMの後輩にどんな内容ですか?と聞かれた際、うまく簡潔に答えられなかったので(笑)、文章にしてみました。もしご興味があればちょっと(?)長文ですがご笑覧くださいませませ。
 
 
最初のきっかけは、経営理論の勉強会で、たくさんの教えと刺激を頂いている早稲田大学ビジネススクールの入山晃栄先生のハーバード・ビジネス・レビューの記事「現代の経営理論はビジネスを説明できない」を読んだことでした。
 
 
この記事の私なりの命題を一言でいえば、
【メルカリの成功を経営理論で解くことはできるが、経営理論をすべて理解してもメルカリのビジネスモデルは作れない】。
 
 
全体(ビジネスモデル)は要素(経営理論)に分けられるが、要素(経営理論)を組み合わせても、全体(ビジネスモデル)にはならない。それが現在の経営学の限界でもあるわけです。(「経済学を学んでもお金持ちになれない」「経営学を学んでも実際の企業運営は必ずしもできない」とよく言われるのもこれと近いかと。)
 
システム理論的に言えば、要素を組み合わせただけではシステムにならず、そこに創発(emergency)が起こることによって、全体のシステムが形作られると説明されています。
 
 
つまり経営学では上記命題は解けないかもしれないが、システム思考、システムデザインの視点なら解くことが可能かもしれない。
そうすれば、成功のためのビジネスモデルを創ることに苦労している多くの起業家、経営者のお役に立てるーーというのが、この研究に取り組み始めた動機です。
 
 
システム理論では、要素の組み合わせから創発して全体が形作られる現象を複雑系(Complex System)と呼んでいます。複雑系の研究は多岐にわたりますが、原始地球でアミノ酸やらタンパク質やらが集まると創発して自己組織化が起こって「生命」が生まれたとするカウフマンらの研究が有名ですね。
 
 
自己組織化でピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、今年上半期ベストセラーのフレデリック・ラルーの「ティール組織」はまさにこの生命の自己組織化を「組織論」に応用したものです。
 
 
自分の研究と「ティール組織」の親和性に気づいたのは、実は最近なんですが、それに気づいたことで「ティール組織」や「ホラクラシー」を研究、また「ホワイト企業大賞」等の活動でそれを世に広める活動を行っている、わが慶應SDM研究科委員長の前野 隆司先生が主催された3月の「Shiawase学会」用に「ホラクラシー組織のためのフレームワーク」の発表資料を作成し、初めて自分の考えを発表しました。

併せて研究室(メソドロジーラボ)の仲間と検証を行い、少しずつ「理論(フレームワーク)」を形作っていきました。
 
 
また実際にティール、ホラクラシーを実践されている「ホワイト企業大賞」企業のダイヤモンドメディア(株)の武井 浩三さん、山田 裕嗣さんらが立ち上げた「自然経営研究会」にも参加させていただいて、実際の場でどのように運用されているのか勉強させていただいてます。

ここに挙げさせて頂いたのはほんの少しで、今回の論文は今まで以上に、多くの人たちの協力をいただいています。
ご本人たちには「島に協力した覚えはないよ~」と言われるかもしれませんが(笑)、多くの人たちの活動の相互作用が、自然と(自己組織化的に)この論文になっての結果だと思っています。
 
もっと研究をブラッシュアップさせて、多くの人たちに還元したいです。
 
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 
あ~その前にカンファレンスの発表資料つくんないと~(汗